March 05, 2021

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 昭和の頃、動物モノ映画というのが大きなブームになったことがあった。

 火付け役となったのは本作だと思う。

 もしかすると、本作品の登場までは「動物が主役」という映画はなかったかも知れない。


 その最初のハシリがこの映画だった記憶がある。

 
 その後、動物に演技を仕込む会社や俳優を抱える事業がハリウッド周辺に出来た。

 動物が映画に使われる機会も多くなった。




 テレビドラマでは、「わんぱくフリッパー」という、イルカを主人公にしたドラマがあった。

 これは相手が特に知能の高い動物とされている「イルカ」だから、別格だろう。


 こうした動物が主役のドラマの製作は途方もないものとされた。

 もちろん昔のことだからCGもない。

 「動物に演技をさせる」というのは難しく、数多くの無駄なカットを消費した。

 
 それは大変な作業だったはずだ。

 撮影がどれだけ大変だったかが映画の宣伝文句にも使われた。



 とりわけ本作について言えば、賢い役者犬を得たからこそ、この映画の大ヒットと成功があると言われている。




 作品としては可愛い犬が賢く立ち回るドタバタという、なんてことのない映画。


 何でもない話でもテーマ音楽も良く大ヒットした。

 この映画は多くの人々に強烈な印象を残したはずだ。


 その後、ずっと後になって「K-1」とか「ベイブ」「100(百一匹ワンちゃん)」などが製作されるが、この頃の苦労と較べるべくもないだろう。



 動物は話すことはないから、表情に見えるカットを集めたり、その動きで感情を表現してゆかねばならない。


 本作の主人公は雑種だったはずで、色々とアメリカのサイトを調べても特定の犬種は出てこない。

 テリアの血が入っているのは分かる。





 こういう映画のことを「ファミリーモノ」なんて言ったりするが意図するものは曖昧だ。

 何もファミリーで見なくともいいだろうとは思う。 


 要するに「家族連れで映画館に観に行って、みんなして楽しめる」、そんな和やかな映画だという意味だろうが、それなら別に他のジャンル、コメディや古典劇でもいいはずだ。


 なんだか「ファミリーモノ」という映画の分類には、「家族」というものの薄っぺらな捉え方がうかがえ、作品も子供騙しでつまらないのではないかと思えてしまう。



 あくまで余談にはなるが、「小森和子」という映画評論家がこの映画をいたく気に入り、似たような犬を愛犬としていたことがある。


 昭和から平成にかけ、「小森のおばちゃま」として一世を風靡した女性だ。

 小森氏は小規模だがプロジェクターで映画を見せるBarを経営していて、店に立つこともよくあった。

 気さくな人であった。


 常にベンジーによく似たタイプのテリア系の犬を連れていた。

 「この子はエイヒレが好きなのよ」などと言い、客のツマミを食わせるほどの溺愛ぶりだった。

 本作品の名前を出すことも何度かあったと記憶している。


 





(22:58)
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